相続をスムーズに終えるためには
事前の準備が大切です。
このページでは相続手続きの流れや疑問について解説します。
さまざまな専門家が相続の相談を行っています。
まずは、身近な専門家に
相談することもおすすめです。
相続手続きは、主に以下の流れで行われます。
遺言書がある場合は、遺言書に沿った遺産分割となり、ない場合は、遺産分割協議を行い法定相続分を参考に話し合います。遺言書では相続人でない方が相続財産の受取人に指定されているケースもあるため、先ずは遺言書の有無の確認をしましょう。
相続では民法により、相続財産を承継する相続人が定められています。それを「法定相続人」と呼びます。
法定相続人には順位が指定されており、存命の一番順位が高い方が法定相続人となります。遺言書を作成していなかった場合は、この法定相続人全員で遺産の分け方を協議します。
また、遺産分割協議は、相続順位に基づく法定相続分を参考に進めることとなります。
法定相続人の調査は、故人様の出生から死亡までの戸籍謄本を辿り、確認することとなります。
例えば、相続人が配偶者と子の場合は配偶者が遺産の2分の1、残りを子の人数で分けます。配偶者と両親の場合は配偶者が遺産の3分の2を相続します。割合は以下の通りです。
相続人のケース | 配偶者 (必ず相続人) |
子ども (第1順位) |
親 (第2順位) |
兄弟姉妹 (第3順位) |
---|---|---|---|---|
配偶者・子ども | 2分の1 1/2 | 2分の1 1/2 | ー | ー |
配偶者・親 | 3分の2 2/3 | ー | 3分の1 1/3 | ー |
配偶者・兄弟姉妹 | 4分の3 3/4 | ー | ー | 4分の1 1/4 |
配偶者のみ | 全部 1/1 | ー | ー | ー |
子どものみ | ー | 全部 1/1 | ー | ー |
親のみ | ー | ー | 全部 1/1 | ー |
兄弟姉妹のみ | ー | ー | ー | 全部 1/1 |
誰がどれだけ相続するのか、まずは相続財産調査をして故人の遺産がどれだけあるのかをきちんと把握しておくことが重要です。
近年ではエンディングノートも多く発行されていますので、相続人が調査をしやすいよう活用するのもいいでしょう。
負債も相続対象となりますのでご注意ください
相続人と相続財産の調査が完了した後に、遺言書がなかった場合は、相続財産(遺産)の分け方を全員で協議する必要があります。それが遺産分割協議です。
相続人の中に未成年や認知症、行方不明の方等がいる場合には、家庭裁判所での必要な手続きを経る必要があります。
また、分け方が決まった後は、そちらの内容を書面として残すことが出来ます。その書面の名称を遺産分割協議書と言います。相続の手続きの中には、遺産分割協議書の提出を求められるものもあります。
相続財産の調査が完了した後、マイナスの財産等があり、法定相続人の中には、相続財産を受け取りたくないという方が出てくる場合もあります。そういった方のため、相続財産の受取りを放棄または限定することも出来ます。
相続財産の受取り方に関しては、主に以下の3種類があります。
被相続人(亡くなった方)のすべての相続財産を相続です。
マイナスの財産がある場合は、相続人が債務の弁済をしなければなりません。
プラスの財産の範囲内でマイナスの財産を支払っていく相続の方法です。
調査などのためにかなりの時間がかかります。
一切の相続財産を相続せず放棄します。
令和6年4月1日より
相続登記が義務化されます。
必要書類を収集/作成
登記申請をするときは必要書類を集めなくてはなりません。転籍や婚姻などをされている場合、転籍前や婚姻前の本籍地所在地の市区町村で、除籍謄本や改製原戸籍を取得しなければなりません。手続が煩雑になる場合、司法書士に依頼するといいかもしれません。
登記申請
登記申請書やその他の必要書類の準備が整ったら、登記申請を行います。登記申請は以下の方法があります。
近年、少子高齢化や地方における人口減少などの理由により、空き家数の増加が社会問題となっています。
空家対策特別措置法では倒壊の危険や周辺環境の悪化につながる可能性のある空き家を「特定空家」とし、税金の優遇を受けられなくなります。
令和5年には、相続または遺贈によって土地の所有権を取得した相続人が、一定の要件を満たした場合に、土地を手放して国庫に帰属させることを可能とする『相続土地国庫帰属制度』がスタートしました。
※ 相続土地国庫帰属制度は、建物がある状態では利用できません。
空き家の発生原因の
半分以上が相続です。
誰が相続するのか? 相続後は誰が住むのか? 売るのか貸すのか?
それとも解体するのか?など、関係者で事前に話し合っておくことが重要です。
相続で不動産取得を知った日から3年以内に申請しなければなりません。正当な理由がなく義務に反した場合、10万円以下の過料の対象となります。 ※ 令和6年4月1日より前に相続した不動産も、未登記のものは義務化の対象となります。
遺産分割協議による相続登記の申請は、通常、
次のステップ1からステップ5までの流れで行います。
戸籍関係書類の取得 相続開始の証明と法定相続人の特定
遺産分割協議・協議書の作成 協議・話し合いによる土地・建物の 所有者の確定とその書面化
登記申請書の作成 法務局(登記所)提出書類の作成
登記申請書の提出 法務局(登記所)へ提出
登記完了 法務局(登記所)から登記完了証・ 登記識別情報通知書の交付
財産を取得した人それぞれの課税価格の合計額が、遺産に係る基礎控除額を超える場合、相続税の申告をする必要があります。
相続税の申告手続は、下記の1〜2を相続開始の翌日から10ヶ月以内に完了しなければなりません。
相続税申告書等必要書類一式を被相続人の住所地を管轄する税務署に提出
相続税の納税
納税金額は基礎控除額を越えた分に対して、以下の税率を基に計算されます。
法定相続分に応ずる 取得金額 |
税率 | 控除額 |
---|---|---|
1,000万円以下 | 10% | ー |
3,000万円以下 | 15% | 50万円 |
5,000万円以下 | 20% | 200万円 |
1億円以下 | 30% | 700万円 |
2億円以下 | 40% | 1,700万円 |
3億円以下 | 45% | 2,700万円 |
6億円以下 | 50% | 4,200万円 |
6億円超 | 55% | 7,200万円 |
相続時の遺産分割をめぐるトラブルを防ぐために、民法上で法的効力を持つ遺言書を残し、自分の意思を伝えることが重要です。
遺産相続では、「法定相続よりも遺言による相続が優先される」という大前提があり、遺言書によって自身の意思を明確に伝えることによって、相続トラブルを未然に防ぐことができるのです。
遺言書は、「自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言」の3種類があります。
それぞれの書き方、作成方法と求められる要件を簡単にまとめると、次のようになります。形式的な要件を満たしていない遺言書は無効となります。また、内容によって効力を持たない遺言書もあります。
遺言書は、相続トラブルの可能性を最低限に抑えるだけでなく、相続の手続きをスムーズに進めることにも役立ちます。
とはいえ、「遺言書さえあれば、すべてが丸く収まる」というわけではありません。遺言書には「できないこと」もあります。
近年では円滑な資産継承のために『家族信託』を利用するケースも増えています。遺言の効力についてよく理解して、相続がスムーズに進むよう準備を進めることが大切です。
それぞれの相続人の相続分の指定。法定相続人以外への相続も可能。
法定相続人全員の同意がある場合、遺言に従わなくてもよい。遺留分侵害額請求は認められる。
遺産の分割方法を指定可能。
法定相続人全員の同意がある場合、遺言に従わなくてもよい。
土地、不動産等の売却を禁止できる。
効力は相続開始から5年以内だけ。
相続人に対しても、相続権を持たない人や法人にも条件付きで遺産を譲ることができる。
※ペットの世話をしてくれるかわりに毎月◯万円を与えるなど
受遺者は遺贈を放棄することもできる。
遺言の執行者を指定できる。
遺言執行人は断ることもできる。
婚外子の認知、財産の相続ができる。
婚姻や養子縁組に関することには法的効力はない。
問題のある相続人を除外できる。
廃除理由によっては認められないケースもある。
保険金の受取人を変更できる。
実際の受取人の変更手続きは、遺言者の死後、保険会社に通知して行われるため、遺言執行人を指定しておいた方がよい。
家族信託とは、家族による財産管理の一つです。
自身の財産の権利をあらかじめ信用出来る家族に委託することにより、自身が認知症等により財産管理や運用が出来なくなった場合も、その家族に運用してもらうことが可能となります。
例としては、生活費や施設利用費の引き出しや不動産の処分の権利等を委託することが出来ます。
家族信託は認知症の対策等自身が存命中の管理のために用いられることも多いですが、自身が死亡し、相続が発生した際に権利の承継者の指定が出来る等、相続の側面からも活用が可能な制度となっています。 家族信託では、財産の権利を委託する委託者、財産の権利を受託し運用をする受託者、受託者が運用した財産から出た利益を受け取る受益者を指定し委託する権利等をまとめ信託契約書を作成することにより信託が開始されます。
おひとりさまとは、一般的に同居する家族がいない人のことを指します。自分らしい生活を続けつつも、万が一の時の備え、自身の財産管理や死後の事前準備しておくことで相続発生時のトラブルを避けることができます。
対象者:同居する家族がいない人
事務所名 | 電話 | |
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